いけ!ログ

2023年3月1日|カテゴリー「いけ!ログ
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午後から登壇、専門の福祉分野
高齢者介護と児童養護、この4年間、どれだけこの分野の質疑を重ねてきたのか分からないくらい毎回のこと

①特別養護老人ホームの諸課題について
特別養護老人ホームの施設長を30代の時、5年務めていた。
葬式や火葬にひとり立ち会い見送った天涯孤独の方も数多くいた。
介護で疲弊していた家族関係が劇的に改善されていく様もよく見てきた。特別養護老人ホームの公的意義も痛感してきた。
港区には9施設829床ある
特別養護老人ホームはどんな介護状態になっても尊厳が守られる介護保険サービスの究極の形であり、最後の砦だ
そのペットのひとつひとつに人間の尊厳と家族からの期待が込められていると認識して適切な運営管理に当たって欲しい
特別養護老人ホームの諸課題についてお伺いする
❶クラスターの認識について
コロナ禍において、特別養護老人ホームは、利用者、その家族、職員の疲弊は顕著である。命のリスクはもちろん、面会制限や生活やリクリエーションなど制限、職員に至っては利用者にうつすまいと旅行にも子供の行事にも出ないといった配慮を続けている方も少なくない
その疲弊が最も顕著となるのがクラスターである。
全国老人福祉施設協議会では昨年の夏における高齢者施設での感染実態に関する調査(入所273施設(特養223、養護23、軽費27)結果を公表した。
高齢者施設等ではクラスターが発生しやすいことなどが確認できる。
▽入所273施設の58.2%で感染が発生し、うち59.7%でクラスターが発生
▽クラスターが発生しやすい理由として
「利用者自ら感染対策を講じることが困難」
「施設内療養は職員の負担が過大で感染対策が不十分になりやすい」「食事を一度に多人数でする環境」
「職員1人当たりの介護利用者が多い」
「感染した利用者が入院できず施設にいる」など
▽軽症が67.5%だが、中等症(27.8%)、重症(4.7%)も少なくない、3.4%が死亡した(うち59%が施設内死亡)
▽入院が17%、入院調整したができなかったが32%、入院の必要性なしが51%
▽施設内療養期間中に、スタッフ・利用者の感染者数が増加している(スタッフで3.84倍、利用者で2.39倍)
このような結果や、クラスターにおける影響を港区はしっかりと認識すべきである。そこでお伺いする。
港区では集団感染は確認されているか?また、感染拡大を起こさないようどのような対策指導をとってきたか?
❷特別養護老人ホームにおけるコロナウィルス5類への移行の影響について
最初にクラスターに関する認識を伺いしたのは、特別養護老人ホームにおけるコロナウィルス5類への移行の影響について見解を聞きたかったからだ。
つまり5類になっても港区の姿勢は変わらないのか、ということだ。
この5月、コロナウイルスが5類になることで、今よりも社会から守られないことで感染リスクが増大する。様々な行政支援が希薄になるのではないかという懸念もある。新型コロナが5類になるといっても、感染力が弱まるとか、病原体が変わるわけではない。ウイルスを施設内に持ち込まない、施設内で感染を広げないための対応は何も変わらない
クラスターによる利用者や家族、また運営者の影響は甚大であり、コロナイルスが消滅しない限り、特養が利用者への徹底した配慮を継続することは変わらない。
→区として特別養護老人ホームの利用者の安全における5類への移行影響をどう考えるか?
❸入所基準の改善について
特養に入れず、港区は費用高なので近隣区や近県など有料老人ホームにやむなく入る人は沢山いる
そこでその地元の介護サービスを利用するために住所を変更することがある
住所地特例も承知しているが特例適用外の施設に移る人もたくさんいる
やむなく親戚などの家に一時的に引っ越す人もいる
その場合何十年港区に住んでいても入所基準に反映、勘案されない
当然何十年も住んでいれば港区の特別養護老人ホームに入りたいと思うのは当然だ。
一旦受書を移してしまうと港区に全く住んだことのない人と同じ、ゼロになってしまうのだ
せめて数年以内とかいくつか条件をつけてでもいい
→この入所基準を改善すべきと思うがどうか?

②児童虐待防止の諸課題について
❶要保護児童の18歳以降の支援について
要保護児童の18歳は周囲の支えのないまま社会に出ることになる
児童養護施設にいる子供たちは自分の通う高校の卒業式に加えて施設の卒園式がある
子供たちにとっては卒園式と言うよりも家からの卒業式とも言えるものだ
私は児童養護施設を運営していて来月卒園式がある
長くいた子では2歳から16年いた子供もいる
52人の大家族の長男長女の船出にみんな涙ながらにエールを送る

制度として原則、18歳になったら住み慣れた施設を出て行かなくてはならない
ほとんどが虐待を受けた子供たちで18歳になっても親からの励ましや支援はほとんどない
大学の進学率も一般家庭の子供の半分にも満たないのだが、せっかく大学に進学しても頼る人も貯金もなくドロップアウトしてしまう子がいる
家庭にいる子供の18歳とは全く違うのだ

成人年齢が18歳に引き下げられたことも支援が希薄になる懸念材料のひとつだ
国も20歳までの支援のしていく方向性や規制緩和を考えつつあるがまだまだ有効ではなく、地方自治体での取り組みが必要である

→子ども家庭支援センター、児童相談所、福祉総合窓口などが連携し、20歳まで、濃淡はあると思うが、支援を必要とするすべての要保護児童を見守り支える仕組みができないか

この質疑は、この4月から子供基本法が施行され子ども家庭庁も設置され、港区でも組織改正があり、子供も再定義され18歳という年齢に拘らず、要保護児童の未来に目が向くような弱者優先の政策を常に意識してほしい

❷0歳児の虐待死の根絶について
今期民生費最後の質疑としてこの課題を取り上げたい。
熊本の赤ちゃんポストの視察を昨年11月行った
赤ちゃんを産んでも育てられないお母さんがこの小さなポストに赤ちゃんを置いていく、中には泣きながら家族で置きに来たケースもあるらしい
内部の部屋の絨毯には血痕、遺棄された赤ちゃんのものだと聞いて、背筋がぞっとした
誰にも知られずに子供を産み、誰にも知られずにここに我が子を遺棄しに来る孤独は想像を絶する
関東圏、東京のお母さんも多いと聞いた
このような施設を行政が積極的に設置促進するという立場では決してない、ただここでの視察の成果を港区の0歳児虐待死根絶のヒントにしていくと現地のマスコミ取材に答えた、今日の質疑はその一環
赤ちゃんポストは保護責任者遺棄を助長すると言う世論もあるそうだが、現場を訪れれば安易にそのようなことを言ってはならないと痛感した
母子の命の尊厳を優先し運営されており、これまで150人以上の赤ちゃんがここに届けられた事実は厳粛なことだ
その凄まじい母子の物語や、設立に対する思いも院長さんからきいた
ほとんどのお母さんは、一度も役所に相談をしていない、役所として介入のチャンスはなかったのか
児童養護施設の運営者としても0歳時の虐待死リスクの実態をあらためて垣間見、多くのことを考えさせられた

子どもの虐待死については、厚生労働省の調べによると令和3年度は
心中以外の虐待死
「0歳」・・・32人(65.3%)(0歳のうち月齢0か月児が50.0%))
この月齢0ヶ月児が半分と言うデータも深刻だ
→0歳児の虐待死は全国的に最も多い、港区ではどのような取り組みをしているのか

児童相談所があり、子育てするなら港区と標榜する港区で児童虐待死は絶対に起こしてはならない
今回0歳児虐待死の問題を取り上げたのは、ここに注力することが全ての年齢においての虐待予防に繋がると思うからだ。
児童虐待防止啓発活動は地道、継続が基本、来年度もしっかり取り組んでほしい